ドラゴンは宇宙に棲む

 「ドラゴンは、星を喰うんだって」

 そう呟いたのは、銀河航行士見習いの少女ミナ。
 彼女の背後で、老機械士のゲンが笑った。

 「童話か。あれは古代人の宗教みたいなもんさ」

 でもミナは、惑星オルディナを通過したあの夜のことを覚えている。センサーには何も映っていないのに、船の外に──金属の翼があった。流星でも、宇宙船でもない。けれど“それ”は星の引力を振り切り、悠然と宇宙を泳いでいた。

 「人工生命体かもしれない」とAIナビは言った。
 「いや、生体反応がない。構造不明。解析不能」

 ミナは言った。「じゃあ──魔法かもしれないね」

 それきり“ドラゴン”のことは誰も話さなくなった。
 でも、宇宙船の表面には、いまでも小さな焼痕が残っている。

 ──それは、炎の爪痕。