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予言は手書きで

王国には、未来を記す装置があった。 神殿の奥に据えられた〈予言機〉は、星の配置と魔力の流れを読み取り、これから起こる出来事を正確に書き出す。 戦争、豊作、王の死。 すべて、外れたことはない。 だがある朝、予言機は一行だけを吐き出した。 「本...
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魔法は更新されません

古代魔導書の最終頁には、そう書かれていた。 《この魔法は、最終更新より三百年が経過しています》 王立学院の地下書庫で、それを見つけたのは修復士のリュカだった。 文字は古語だが、意味ははっきりしている。まるで機械の警告文だ。 「魔法に……更新...
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星霊翻訳機

それは「星の声を訳す装置」だった。 王都の塔の最上階、星見の間に据えられたその機械は、魔導陣と結晶管、そして計算歯車で構成されている。魔法使いと技術官が百年かけて作り上げた、史上初の〈星霊翻訳機〉だ。 夜、起動式が行われた。 空に浮かぶ恒星...
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沈黙の契約

古びた部屋の中央、床に描かれた魔法陣がかすかに光っていた。杖を持つ者は、手をかざしながら、小さく呟いた。 「姿を見せよ。物語を語れ」 静かな振動とともに、空気が揺らぐ。淡い光が渦を巻き、やがて、半透明の存在が現れた。それは人の形を模した“機...
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ドラゴンは宇宙に棲む

「ドラゴンは、星を喰うんだって」 そう呟いたのは、銀河航行士見習いの少女ミナ。 彼女の背後で、老機械士のゲンが笑った。 「童話か。あれは古代人の宗教みたいなもんさ」 でもミナは、惑星オルディナを通過したあの夜のことを覚えている。センサーには...
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魔法使いを辞めたロボット

「お前は、もう魔法を使わないのか?」 小さな村の片隅、修理工房に佇むロボット“オルタ”に、少年が問いかけた。 「ええ、必要がないんです。今は技術がありますので」 オルタの目は青く光った。彼はかつて“機械仕掛けの魔法使い”として、王国中を旅し...